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最高裁判所第二小法廷 昭和46年(オ)851号 判決

主文

理由

上告人らの上告理由について。

破産管財人は、破産者の代理人または一般承継人ではなく、破産債権者の利益のために独立の地位を与えられた破産財団の管理機関であるから、破産宣告前破産者の設定した土地の賃借権に関しては、建物保護ニ関スル法律一条にいわゆる第三者にあたるものと解すべきである。ところで、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)が適法に確定した事実によれば、本件土地には上告人らの主張する賃借権について登記がなされていないのみならず、その地上に存する本件建物につき所有権保存登記がされたのは昭和四二年一〇月一六日であつて、本件破産宣告に基づく破産の登記(昭和四〇年一〇月二日)前に本件土地賃借権の対抗要件たる登記手続を経由していないのであるから、上告人らは破産管財人たる被上告人に対し右賃借権をもつて対抗できないものというべきである。したがつて、これと同旨の原審の判断は正当であり、所論は、原判決を正解せず、右と異なる独自の見解に立つて原判決を非難するものであり、採用することができない。

(裁判長裁判官 小川信雄 裁判官 村上朝一 裁判官 岡原昌男)

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